2011年4月6日

メーサローンへ4



乗客はまだ
私とタイ人の二人だけだった。

出発の時間を不安に思っていると
バックパックを背負った夫婦がタクシーに乗り込んできた。
二人とも私より年上な様だった。
顔は日本人とも韓国人とも思える顔立ちだったので
少し様子を伺っていると、
二人が日本語で話しだしたので、話しかけてみた。
久しぶりの日本語の会話がとても嬉しかった。

会話に夢中になっていると
いつの間にか人数は集まっており
タクシーはオールドバスターミナルへ向けて出発した。

ターミナルへ着き、てゆか戻ってきたんだけど
二人と別れた後、バスもすぐに見つかった。

人数が集まるとバスは動き出し、
料金を受け取りに来た乗務員にお金を渡すと同時に
バーン・パサーンに着いたら教えて欲しいと伝えた。

1時間くらい走っただろうか。

乗務員が私に向かって
「メーサローン!メーサローン!」
と叫んでいる。

どうやらここがバーン・パサーンで
ここからメーサローンへ向かうようだ。

乗客でいっぱいの通路をかき分けて
なんとかバスを降りる。
バスの外へ出ると、預けておいた
私の荷物だけがぽつんと外に出されていた。

バスを降りたのは私だけだった。
乗務員にお礼を言い、バスを見送った。

荷物を背負い、
この近くから出ているであろう
乗り合いタクシーを探した。

少し歩くと屋台の一角に
タクシーが停まっているのを見つけ、
その側でタイ人が座って談笑している。

一人のおじさんに近づき、
乗り合いタクシーを指さして
「メーサローン?」と聞いてみる。
おじさんは「Yes」とにこやかに答えてくれ、
続けて「Wait」と言った。

「みんなメーサローンへ行くの?」
と聞いてみると、おじさんは首を横に振った。

メーサローンへ行くのは私だけだった。

後ろにある売店でコーラを買い、
売店の前に荷物を降ろし、
自分も地面に座った。

多分だけど…
メーサローンへ行く人は
あまり多くないと思う。

タクシーの人数が集まるまで
どれくらい待つことになるのか…。
もし人が集まらなかったら
高い料金でタクシーを
チャーターしなくてはならない…。

気長に待つことを覚悟した。

地面に座ったままでいると
一人のタイ人の男性が
「こっちに来て椅子に座りなよ」
と言って手招きをしてくれた。

何もやることがなかったので
彼のそばまで行き、椅子に腰掛けた。

彼の名前はミット。
年齢は35歳。だったと思う。
職業は教師をしていて、
前はチェンラーイの学校で教えていたけれど
これから3ヶ月間はメーサローンの近くにある
タイビレッジという村の学校で
教えることになったらしく、
これから村まで行くところらしい。

お互い片言の英語で自己紹介をすませると
彼は私が持っていたガイドブックを手に取った。
日本語の本に興味があるようだった。

一通り見た後に
タイの地図が載っているページを開いて
どうやってここまで来たの?
ここは行ったの?
など質問攻めが始まった。

しばらく話した後、
ミットは近くにいたタイ人と何かを話し、
椅子から立ち上がった。

そして私に
「一緒においでよ」
と言ってきた。

どういうことだろう。
乗り合いタクシーはここで停まっていて
人数待ちのはずなんだけど…。

どこへ向かうのか尋ねると
彼は「Next Station !」と笑顔で答えた。
なんとなく…
彼は悪い人じゃない様な気がしたので
私も荷物を背負い彼と歩きだした。

そして…

3分くらい歩いたところにある売店で立ち止まった。
どうやらここがNext Stationのようだった。

私には移動した意味が全く分からなかったけど。

さっき背負ったばかりの荷物をまた降ろし
椅子に座って待っていると

なぜか…

乗り合いタクシーが来て、売店の前で停まった。
そしてミットが運転手と何かを話しをしだした。

不思議に思っているとミットが
「カモン!カモン!」と私を呼んだ。
え?と思いながらも荷物を急いで背負い、
乗り合いタクシーに乗り込んだ。

タクシーの中には既に3人程、タイ人が乗っていた。
ミットは地元のタイ人と何かを話している。

タクシーはどんどん田舎の中へ入って行き、
景色も今までのタイの風景とは全く違うものだった。
最初はなだらかな道だったが、次第に起伏が激しくなり
徐々に山の上へ向かっていることを感じた。

小さな村の側でタクシーが停まった。
そしてミットがタクシーを降りることを教えてくれた。
そして「Next Station !」と言っている。

どうやらここでまた
別の乗り合いタクシーに乗り換えるようだ。

荷物を降ろし、二人で並んで腰掛けた。
次のタクシーを待つ間、この小さな村が
アカ族の村だということを教えてもらったり、
ミットが行くというタイビレッジのことなどを話した。
色々詳しいからここは初めてじゃないのかなと思っていると

ミットの携帯が鳴った。

けれど
なぜか浮かない顔をして出ようとしなかった。
それがなんとなく不自然な感じだった。


少しすると一台のピックアップトラックが
私たちの前を通った。
乗り合いタクシーではなく、地元の人の車だ。
ミットがトラックを止めて運転手と話をしている。

メーサローンまでの道を聞いてくれているのか?

すると

ミットが「カモン!カモン!」と呼んでいる。

まさか…

この地元の人の車に乗るのか?
ミットが私の荷物を持って先に
ピックアップトラックの荷台に乗り込んでしまったので
私も一緒になって乗り込む。

そして車は出発した。
ピックアップトラックの荷台は風が当たり
とても気持ちが良かった。
車に乗ると、ミットは誰かと電話をしだした。
さっきの電話の相手とは別の相手なのか?

しばらく車は山道を走り…

ピックアップトラックはY字の交差点で停まった。
ここはどこだろうか。
荷物を降ろし、お金を払おうとすると
ミットが払わなくて大丈夫と言うので
運転手のところまで行き、お礼を言った。

たまたま同じ方向だった為、乗せてくれたのだろうか?

そしてミットは「Next Station !」と言っている。
またヒッチハイクをするのかと思っていると、
ミットが歩き出した方向に一台の古い
ピックアップトラックと、男が立っていた。

男の肌は浅黒く、ティアドロップの真っ黒なサングラスをかけ、
白いタンクトップ姿だった。

ミットは彼の事を自分の友人だと言う。
軽く挨拶をして、私の荷物を荷台に乗せ
私は狭い後部座席に乗りこんだ。
助手席にミットが乗り、
サングラスの男が運転席に乗り込んだ。

そしてサングラスの男が自己紹介をしだした。
彼の名前はネェという。
本名はナターシャだが、ニックネームはネェだと言う。
ミットの事を友人だと言い、同じように教師をしていると言った。

そしてこのY字の道路を左に行けばメーサローンで
右に行けばタイビレッジだと言い、
先にタイビレッジへ行った後でミットが原付で
メーサローンまで送るからと言い、
車はタイビレッジへ向けて進みだした。

ミットがさっき電話で話していたのはネェだったのか?

ミットとネェはとても楽しそうに話しをしている。
タイ語なので私には全く理解ができないけれど。

久々に会ったから盛り上がっているのか?
それとも…
一瞬、悪い予感が頭をよぎった。


あれ?


これって…


ダメなパターンじゃないすか?

つづく

4 件のコメント:

  1. おかぴ久しぶり!楽しく旅してるかな?
    初めてブログみたよ~☆
    旅って感じ!私も行きたい!・・・だけど無理・・・。
    1人旅って怖いよね・・・。
    だから、ブログで世界1周味わわせてもらいま~す☆
    ていうか、この続き気になる~!
    なにはともあれ気を付けて旅してね~!

    返信削除
  2. まじ?えええ岡田さんもしかして。。。。
    いっちゃったーー?

    返信削除
  3. ミントさん

    お、おそっ!
    1ヶ月も私を放置してたなんて…
    嘘です。見てくれてどうもありがとう◎
    色々あるけど、楽しくやっとります。

    返信削除
  4. 匿名さん

    コメント嬉しいんすけどね。
    う、うんと。どちらさんですか?

    返信削除