2011年11月3日

インドビザ 3話



「あーーーもう俺の負けだわ!ガッツのあるジャパニーズだな!」


ってなると思ってた。

日本食屋で会った日本人カップルも取れたって言ってたし、
頑張ればきっと、諦めなければきっと夢は叶うって信じてた。

私と係員が見つめ合い続けていると
隣に座っていた別の係員が立ち上がり、こちらに近づいてきた。
そして、手で追い払うジェスチャーをしながら

「GET OUT!!!!!」

と、強く怒鳴った。
正確に表現すると、

「ゲッタウッッ!!!!!」

と、強く怒鳴った。





はて。





頑張ればビザ貰えるんじゃなかったっけ。
信じれば夢は叶うんじゃなかったっけ。


そこ、キレちゃうんだ。


さすがに怒鳴られてもなお、その場に居続ける強さは無かったわけで。

警備員のおっさんに、だめだったんだけど…と言うと

「そうだな。だめだな。」

・・・・・・。

これからどうすればいいのか分からないでいると、
誰かが私の腕をぐいっと引っ張った。

警備員のおっさんだった。

「あっちだ!」

と指を指すので、そっちの方を見てみた。

「来るんだ!」

と言うのでついて行った。

そこには
領事館の関係者らしきチョビヒゲのオヤジと西洋人の女性がいた。
チョビヒゲのオヤジは西洋人の女性に申請用紙のことで
色々指示しているようだった。

このチョビヒゲに頼めばなんとかなるのだろうか。
実はスゲーやつなのだろうか。

二人がやりとりしている間、私はずっと空を眺めていた。
太陽が温かかった。

なんとなく話に切りがついた感を見計らって
チョビヒゲに事情を説明した。

もう、このチョビヒゲが私にとって最後の希望だった。

返事は…



「 impossible 」だった。
それでも何とか食い下がった。
チョビヒゲを逃したら、もう終わりだと思った。

そしてチョビヒゲは
私が面倒くさいヤツだと理解したのち、
静かにどこかへとフェードアウトしていった。



一人ぼっちになったわけです。



居場所の無くなった私はインド領事館を後にした。





宿に戻った私はシャワーを浴びることに。
風呂は命の洗濯よっていう名言もあることですし
この際、気持ちのリセットをしようと。

そして今日は買ったばかりのボディソープを使う日だった。
わくわくしながらシャワー室まで階段を降りた。
新品のボトルのフタを開け、タオルにソープを出した。

あれー 何か匂いスースーするなーって。
あれー 全然泡立たないやーって。

新品のボディローションだった。

あのー

どっちかっていうと、
体よりも心の方が乾いてるんですけども。えぇ。


つづく

6 件のコメント:

  1. おい岡田この写真素晴らしいじゃないか。
    おいよく見ろ、山から希望の光が見えるだろ?
    頑張れ岡田、生きろ。

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  2. 写真はアンナプルワ連峰からのサンライズですね。
    1時間も凍える中で見た感動を思い起こさせるええ写真ですね。

    しかし、インドピザ残酷物語は・・みんなが大変という通りですね。

    さて日の光が見られるのか
    引き続きヨーグルト屋通いなのか・・・
    がんばってください!

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  3. う、うん。ありがとう。
    で、最近マリナーズ調子どう?

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  4. タナカさん
    日の出良かったですねー。ピカーって。
    インドビザは日本で取れば問題ないみたいです。
    昨日、三脚を購入しました。フフフ。

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  5. 荻です。
    なかなかにゃんにゃんならんすね~~。
    期待してるんですけど(~_~)

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  6. 荻曽さん
    人生うまくいかないもんで。笑

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