2012年8月27日

スラムとお金



ある日ネパールで、乗り合いタクシーに同乗していたおばちゃんと
たまたま同じ場所で降りることになり、
少し会話した後で家でチャイを飲んでってというオファーを受けまして。

家に向かう道中、おばちゃんが片言の英語で
「家は小さいんやけど、あたいのハートはビッグやで」とか
「ウチに外国人来るの初めてやわぁー」とか
そんなことを話しながらたどり着いた先は
木の骨組みにビニールシートの屋根をかけただけの
シンプルすぎる家がたくさん並ぶスラムだったよね。

今までインドなんかの列車の窓からスラムを見たことは何度もあったけど
実際に来たのは初めてというか、
ただチャイをゴチになりますっていう軽いノリでついて来たもんだから
心の準備ができてなかったっていうか、
一人で来てお母さんに怒られないかしらとか一瞬とまどったわけですが、
おばちゃんの雰囲気とか、好奇心とかに負けてお邪魔することにしたわけです。

家の中へ案内され、
床っていうか地面に置かれた竹で編んだ丸イスに腰掛けると
おばちゃんはおもむろに家から出て行き、
入れ違いで若い男が家の中へ入ってきて
小慣れた英語でウェルカム感全開なわけです。

チャイはー?なんて思ってたら
男がここを案内するとかなんとか言いはじめて外へ連れ出され
そしてここには食べ物がなく、物もなく、とても不衛生で
ここの人たちがどれだけ苦しい生活をしているかを
歩きながら私に話してくれるんですけど、
家の骨組みの隙間から、ときどきラップトップ持ってる人や
テレビ見ながらくつろいでる人なんかがちらちら見え隠れしたりして
つっこみたすぎるっていうか。

まあそれで、最終的にコンクリートで造られた
立派な共同トイレと水汲み場へ連れて行かれるんですけど、そこで
「これはね、ヨーロピアンが3,000ドル寄付してくれて建っちゃった感じでして。えぇ」
なんて言い出すもんだからね、いやーこれはもう完全にビジネスだよね、
で、君はいくら寄付できるのかね?っていうパターンだよね。
とかって考えてたら、私の考えを読んだのか男がこう言うわけです。
「でもね、大切なのはお金じゃないんだ。そう、お金なんかじゃない。もし君に私たちを助けたいっていう気持ちがあるなら、食べものや、あとは、んー例えば着なくなった服なんかをくれないかな」って。

ちょっと意外すぎました。
実際ネパールには仕事が少なく、ネパールの人たちは別の国へ行って
稼ぎたいって言ってたり、ストライキとかも頻繁に起こる国で、
貧しい生活をしている人たちも多い中、
スラムの人たちも生活していく上でお金が必要になるのは当然のことだし
こういう場合は間違いなくお金だろうと思ってたんですが
予想外の展開にびっくりしたと同時に、
貧しい=金とすぐ結びつけた自分に少し反省しました。

男とおばちゃん家へ戻って3人でチャイを飲みながら歓談しつつ、
今日の唯一の予定だったお寺へそろそろ行こうとしたら男が

「えーと、それでさ。君はいくら寄付できるんだっけ?」

やっぱ金ですよねー。











でもまあ、あれです。
ここの子たちの笑顔が素敵すぎて
後日再び訪れましたけども。



【おまけのネパールフォト】











ネパールで迷子になったあと、インドへ再々入国して
1ヶ月くらいかけて北インドとチベット国境付近の
キナウル渓谷とスピティ渓谷へ行ってきました。
今後の予定はもう一度チベットを目指す為にネパールへ戻ります。
ちなみにこんなところへ行ってきました。

スピティのキッバル村

キッバルの星空